会社の上司から、「売上を上げるためのアイデアを考えろ」と言われ、いいアイデアが思い浮かばず悩んだ経験はありませんか?アイデアを出すためには、どうしても天才的なひらめきが必要だと思いがちです。
ところが、アイデアを出すためには、それなりの手順が存在します。今回はUSJの経営危機からV字回復を果たしたお話の中からご説明します。
USJのオープン当初は、1100万人の入場者を記録したものの、その後700万まで激減し、存続までも危ぶまれる時期がありました。
人もいない、お金もない状況中、数々のアイデアでヒットを飛ばし、V字回復を果たした歴史があります。今では誰もが知るアミューズメントパークとして確固たる地位を築いています。
数々のヒットを飛ばしたマーケティング担当者の経験談から、どのような手順で考えていけば、良いアイデアにたどりつけるかが分かります。
アイデアは生み出す発想方法があり、天才のひらめきではない!
アイデアを出すには、手順がありまた発想方法が存在します。決して天才のひらめきではないことを知っておくことです。発想方法としては3つあり、それぞれに大切なものです。
アイデア発想法 1 フレームワークを使う
通常アイデアを考える時は、いきなりメモやポストイットなどに、出てきたアイデアを書いていく作業をしてしまいます。このやり方ではダメだと言うものです。
ちょうどエジプトの発掘現場のように、広い砂漠の中で目についた穴を掘っているようでは、いつまでたってもお宝にありつけることはできません。
最小限の努力で最大限の成果をあげるには、手足を動かす前にフレームワークを使って当たりをつけていくことが重要です。
特に重要なのは「戦略的フレームワーク」を使うことです。このフレームワークを使えば、考えるべきアイデアの必要条件を導きだしてくれます。
まずは、3つのステップで考えていきます。
- 目的
- 戦略
- 戦術
この中でも一番大切なのは目的です。目的を設定した上で、その目的を達成するためにどの経営資源を使い、何に集中するかを決めます。これが決まれば戦略が決まったようなものです。
戦略が決まれば、必要条件が何であるかが明確になります。アイデアはその必要条件をもとに考えることで、合理的かつ効率的に戦略を考えられます。
アイデア発想法 2 ストック&リアプライ(アイデアの再活用)
アイデアを考える場合、誰もが思いつかないような、飛び抜けたアイデアを考えようとしてしまいます。
先程のフレームワークを使い目的や戦略を設定した後、次にはアイデアを考えていきますが、突び抜けたアイデアはここではまったく考える必要がありません。
自分が考えたオリジナルなアイデアは最終段階まで必要ありません。まずはアンテナを張り巡らせることが必要です。
情報に関して敏感になっておくことです。ただ情報を見たり聞いたりするだけで不十分です。ここでは自らやってみることが重要になります。
マーケティング担当者の経験談
【①モンスターハンターにビジネスチャンスがあると気づいた時、2ヶ月で約300時間モンハンゲームに費やした。
②髪を染める人を理解するために、実際に金髪にしたり、真っ赤なモヒカンに挑戦した。】
この段階で考えることは、
①自分の持っているストックの中から、使えそうなものをピックアップすること
②まったく新しいものを考えずに、持っているストックを別のものに作り変えること
これをやれば、ストックの中から素晴らしいアイデアのヒントを引き出すことができます。さらに、ストックをより効果的にするために、チームの意見や専門家の知識を借りることが必要です。
これら一連の作業によって、自分では考えられないくらいの効果的なストックに生まれ変わります。
アイデア発想法 3 コミット&デリバー
コミットとは、結果を約束するという意味です。つまり良いアイデアを出すまで諦めない気持ちのことになります。成功するか失敗するかの最後の決めては、コミットするかどうかで決まります。
フレームワークを使い、日頃からため込んだストックを有効に使って、リアプライした後は、アイデアを思いつくまで考えることです。
考え続ければ、脳が不思議な状態に入り、アイデアが急に降ってくるようなイメージになります。
時間的な余裕がある時よりも、締切前日や資料も全然できていない、そんな追い込まれた時こそ脳が不思議な状態になりアイデアが降ってきます。
マーケティング担当者の経験談
【夜も眠れずに考えた末に出てきたアイデアが、ジェットコースターを後ろ向きに走らせることです。】
後は夜も眠れずに考えたアイデアをデリバーすることです。つまり、世の中に届けるところまでやりきらなければ意味がありません。
どれだけ強い戦略やアイデアを生み出したとしても、顧客まで届かなければ、なかったものといっしょになってしまいます。
考えられたアイデアは、デリバーされなければコストがかかりません。
しかしながら、20点30点のアイデアをデリバーして世の中に出した場合には、コストがかかりなおかつ質の低いものを届けることになってしまいます。
もちろんブランドの信頼が落ちることもあり、最悪の事態を招くことになってしまいます。
【アイデア発想の技術】(基礎)V字回復の裏側に隠された秘密 まとめ
アイデアを考える場合は、いきなりアイデアを考えるのではなく、深呼吸をしてまず目的は何かを考えることが重要です。
目的を考えるのも、意識をしなければできるようになりませんが、意識をすれば必ずできるようになります。この目的をセットすることこそが、マーケティング担当者の重要な仕事です。
日頃から会議の度に、この会議を開く目的は何なのか、このメールを書いている目的は何のかを考える習慣をつけます。いつも考える習慣があるだけで、通常の業務の質は必ず向上していきます。
今回はアイデア発想の技術についてご紹介しました。アイデアを出す手順を理解したところで、最適なアイデアが出てくるようチャレンジしてみてください。
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