ワールドカフェは、カフェのようなリラックスした空間で、自由な会話や人とのつながりの中ではじめて、知識や知恵を活かせるアイデアが生まれると考えられた会議手法です。
今では、世界中の企業、学校、政府、NPO、コミュニティで実践されています。
ここでは、対話という言葉がよく使われています。会話と対話は、どちらも2名以上の少人数で、向かい会って話し合うことです。
しかし、この違いを極端に表現すると、会話は、パワハラになる可能性がありますが、対話は可能性がまったくないということです。
つまり、対話は相手を理解したコミュニケーションです。ワールドカフェは、こうした対話の中で新たな発想やアイデアを生み出そうと考えられました。
早速どのような手順で進めていくかを見ていきましょう。
ワールドカフェ を行う手順
ワールドカフェ1 小グループを作る
4~5名の小グループを作り、ひとつのテーブルに座ります。リラックスした雰囲気にし、出来れば、服装もカジュアルの方が良いかもしれません。
話す時間や聞く時間のバランスを考えると、4~5名がぴったりで、気楽に話せるのが特徴です。
議論する内容は、全体の「テーマ」があり、テーマに対する「問い」を決めて、どのテーブルでも同じ「問い」について話し合っていきます。
模造紙を用意し、キーワードや内容をメモしていきます。
ワールドカフェ2 20~30分で1人を除き違うテーブルに移動する
「問い」に対して話し合いを進めると、20~30分程度で1ラウンド終了です。そして次のラウンドでは、1人(ホスト役)を残して、全員が他のテーブルにバラバラに移動します。
1人(ホスト役)残った人は、移動してきた人に、模造紙を見ながら、そのテーブルでの内容を伝えます。このやり方をすれば、別のテーブルの話し合いに参加でき、違った意見も発見できます。
ホスト役は、自然の流れで話し合いが出来るようにすることです。司会進行をしてしまうと、プレッシャーに感じ、リラックス出来なくなるので、注意を要するところです。
ワールドカフェ3 模造紙に意見やアイデアを書く
各テーブルには、中央にそれぞれ模造紙を置いておきます。また、マジックや色ペンも用意します。
「テーマ」や「問い」を模造紙の真ん中に書き、話し合いの中で浮かんできた疑問やアイデアを自由に書き込んでいきます。
このやり方をすれば、移動してきた人でも、1ラウンド目に話した内容を確認することが出来、意見も出しやすくなります。
ワールドカフェ4 元のテーブルに戻る
20~30分経過したら、2ラウンドを終了します。同じく、ホスト役を残し、次は全員元のテーブルに戻ります。
ホスト役は、戻ってきたメンバーにお帰りなさいと声をかけ、2ラウンド目の内容をメンバーに伝えます。同じく20~30分経てば3ラウンド終了です。
ワールドカフェ5 参加者全員で情報共有する
最後は全体で情報を共有します。テーブルごとに、ホスト役が内容を発表していきます。中には、話の進み方が違っても同じ内容になる場合もあったりします。
その場合は、メンバーも含めて補足説明などを行います。ワールドカフェでは、答えを出す事を目的にしている訳ではありませんので、結論を述べる必要はありません。
あくまでも人々がオープンに会話を行い、新しいアイデアや知識を生み出すことが目的です。
ワールドカフェでの注意点
①進行役(ファシリテイター)が最初に、集まりの趣旨や「テーマ」、「問い」を説明します。また、 進行スケジュール、制限時間の合図を行います。
あくまでリラックスした雰囲気を保つためには、威圧的にならないようにします。
②テーブルの人数は、4~5名以上になると、話がはずまなくなり、活発な議論が出来なくなります。
③ホスト役が司会進行をしてしまうと、結果を求められると勘違いしてしまうので、自由なアイデアは生まれにくくなります。
ワールドカフェの効果とは
ワールドカフェ1 自分の意見を言いやすい
最初の効果として、話しやすい環境では、意見を言いやすくなります。カフェのようなリラックスできる空間なので緊張しにくい効果があります。
大人数の前で発言するよりも、少人数の前では発言しやすくなります。また少人数で距離が近く、話を聞いてもらいやすい環境のため、自分の本音の意見を言いやすいという効果もあります。
ワールドカフェ2 相手との繋がりを意識できる
相手との繋がりを意識できるという点があります。自分の意見を否定される事がなく、むしろ尊重されるので、より対話が活発になる効果があります。
相手の意見を聞き、つながりを意識しながら自分の意見を伝えられるので、場の一体感を感じられる効果もあります。
ワールドカフェ3 全員の意見や知識が共有できる
参加者全員の意見を知る事ができます。テーブルを移動したことで、直接でなくても、先に議論をした人達の意見を知れるという効果もあります。
テーブルでは少人数で話しているにも関わらず、多くの人との意見交換や知識の共有ができます。
「テーマ」「問い」に使われる参考例
参考例1
テーマ: 「ワールドカフェを研修で活用するには」
問い : 「どんな研修でどのようにワールドカフェを使っているのか?」
参考例2
テーマ: 「ワールドカフェ 人材育成シーンでの使い方を探る」
問い : 「私たちは対話を通じて何を手に入れようとしているか?」(1、2ラウンドで使用)
問い : 「対話の手法は人材育成に活かせるのか?」(3ラウンドで使用)
【ワールドカフェ】カジュアル気分でアイデアを出す まとめ
いつもの会議でマンネリ化を感じた時には、ワールドカフェを導入すると、新たな発見、気付きが生まれます。
カジュアルを意識した自由な雰囲気の中での会議は、予想以上に新たなアイディアが生み出されます。アイデアの収集だけでなく、社員間の相互理解が深まり、モチベーションの向上にも繋がります。
多様性が問われる今、有効な会議の方法であることは間違いありません。ワールドカフェを取り入れて、社内の活性化を図り、自由な対話のきっかけを作っていきましょう。
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