デジタル化やテクノロジーの進化によって、次々と新たなビジネスが生まれ、取り巻く環境も大きく変化しています。
効率化に着手する企業も増え、今ではZOOMを活用した会議形式も多くみられます。それにともない、以前のように頻繁に出張することも少なくなりつつある現状です。
ZOOMが交通機関やホテルの顧客を奪うという、業界の壁を超えた新たな発想にせまられる時代なのです。
このように過去の経験だけでは将来を予測することが難しい状況にあることから、「VUCA(ブーカ)時代」と呼ばれるようになってきています。
今までの常識が、通用しなくなっていく中で、誰もが経験していない領域で、模索しながらのビジネス展開を考えていく必要があり、ますます個人の能力が問われる時代なのかもしれません。
VUCA時代に、ビジネスパーソンに必要なスキルは何か、またどのような行動をとればよいかなどを解説していきます。
VUCA(ブーカ)とは
VUCAとは、1990年代に軍事用語として使われていた言葉です。「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態」を意味しています。
2010年代に、変化が激しく先行き不透明な社会情勢を背景に、ビジネス界でも使われるようになりました。
VUCAは、4つの単語の頭文字をとった造語です。
- V(Volatility:変動性)
- U(Uncertainty:不確実性)
- C(Complexity:複雑性)
- A(Ambiguity:曖昧性)
VUCA時代とはどのような時代なのか?
本来予測可能であったことが、予測困難になる状況を指します。例えば、地球温暖化に伴う異常気象はその典型です。
今まで注意するだけで済まされていたことが、昨今の被害は目に余るものがあり、到底予測できる状況にはありません。
また、先進国の少子高齢化による働き手の不足、税収の見通しや年金問題も深刻な問題として取り上げられています。
ビジネス界においては、終身雇用や年功序列の制度もなくなりつつあり、転職やフリーランスの新たな働き方をせまられています。
これらの要因が今後、社会にどのように影響するのか、また個人にどう影響を及ぼしていくか、全てを見通すことは非常に厳しいと言えます。
業界に革命を起こすサービスの登場
デジタル化の浸透によってビジネスにおいては、次々と新たなサービスが生まれています。
逆に企業側としては、知らず知らずのうちに売上が低迷し、その原因がつかめない状況や、予想だにしなかった業界からの企業の台頭があったりと、予測不能な状態になっています。
例えば、よく目にする出版業界では、本屋さんで本を買う時代から、アマゾンやDMMで電子書籍を購入、またはサブスク・ビジネスに変わりつつあります。
従来行ってきた、本をダンボールに詰るなどのアナログ仕事がなくなります。また、配送の業務もなくなります。
人件費や配送費コストをおさえることで出版業界のビジネスが、IT業界に脅かされる時代に大きく変化しています。
また、ホテル業界では日本法人もある「Airbnb」というサービスが、ホテル業界を席巻しています。日本でいう「民泊」を目新しいビジネスに変化させたサービスです。
従来のホテル企業では、多くのホテルを建て、教育された優秀な従業員を確保し、日々稼働率を意識しながら経営を行ってきました。
Airbnbは、一般の人が持っているおしゃれなで個性的な施設と旅行者をマッチングさせ、企業は最小限のリスクで経営を行うビジネスモデルを作り上げています。
その他には、Uber EatsでおなじみのUberは、アメリカで誕生した配車サービス業です。
タクシー会社に勤めていなくてもUberに登録すれば、誰でもドライバーとして働くことができるサービスです。
日本がタクシー業界を守っている間に、Uberはすでに世界で1日3000万台の車を走らせています。従来のタクシー会社と違い、運転手や車などの固定資産を持たないビジネスを確率しています。
自動運転が15%を超えるといわれている時代に、タクシー業界は、新たなライバル企業との戦いを迫られることになります。
このように、今までは業界内でライバル企業を意識して行動をすればよかったものが、業界の垣根をこえた企業との市場競争が発生することになります。
国や業界に限定した考え方は次第になくなっていく現実があり、ますます厳しい時代になると言わざるをえません。
これまでの常識が通用しない
これまで企業は、「必要な人材を雇用し育成する」または、「設備投資をする」などを行って、独自の固有資産として、ビジネスの優位性を担保してきました。
ところが、デジタル技術の進化によって、新たなシステムが生まれ、今まで切り札としてきた経営資源が、逆に足を引っ張る要因になる現状が生まれています。
経営資源は、簡単には手放せるものではありません。従業員の問題にしても、慎重に対処していく必要があります。
ただ、このような問題を抱える間にも、新しいビジネスモデルで、新たな企業が躍進し続けている現実があります。
こういった現象は、様々な業界で起き、企業の存続が危ぶまれる事態に陥っています。今まで「常識」だと思っていたものが通用しなくなり、逆に「非常識」だと思っていたものが、この先「常識」に変わっていくのかもしれません。
VUCA時代に必要な3つのスキル
VUCA時代は、従来にはない新たなシステムでの動きのため、複雑で理解しがたく想定外のことが起こる要素も多く、とても予測するのは困難です。そういう状況においても、正しく適応するために必要なスキルとは、どのようなものなのでしょうか。
情報収集力
デジタル技術やテクノロジーによる急激なビジネス変化が起こる時代には、情報収集力の高い人材が求められます。
時代の流れに対応するには、デジタル機器を使う能力やスキルを学ぶ姿勢も必要です。さらに新たな事業を生み出すための情報収集力や、機敏な行動力も重要です。
何が起こるか予測できないVUCAの時代には、情報を収集することで事前の対策に取り組むことができます。
希望するキャリアを実現するためには、キャリアアップにまつわる情報も集めておかなくてはなりません。さらには転職の選択肢も視野に情報収集が必要です。
あらゆる分野に対応できるポータブルスキルも身に着けておく必要があります。
自分の思考で行動する力
AIが台頭する時代、多くの職業がAIに取って代わられると言われています。AIが得意とするところは、過去のデータから判断して行動する力です。
人間の感性や発想力、または課題を発見する能力はAIが最も苦手にしている分野です。過去データがない事例への対応力や意思決定力、クリエイティブなセンスを磨くことでVUCA時代を乗り越えるエネルギーになります。
リーダーとして状況を客観的に見る力
VUCA時代においては、過去の事例から判断するだけでは、方向性を見誤ってしまう可能性があります。物事を客観的に状況をとらえる視点が大切です。
客観的に見れる人材は中立的な立場で意見交換ができるため、常に重要な人材として扱われます。多様な価値観の中で、古い慣習でのマイナス課題を発見することにも役立ちます。
ビジネスにおいて、現在の状況をしっかり観察して状況判断ができるリーダーが求められます。
VUCA時代の意思決定方法「OODAループ」
「OODA(ウーダ)ループ」とは、先の読めない状況で成果を出すための意思決定方法です。
一般的に業務改善には、「PDCA(計画、実行、評価、改善)がよく使われていますが、その目的は決められた工程の中で生産性を高めることに焦点を置いています。
VUCAの時代は、決められた工程もなく日々変化する環境なので、PDCAでは対応しずらくなっています。その代わりに、「OODA(ウーダ)ループ」が注目されているというわけです。
OODA(ウーダ)ループとは
OODAは、4つの単語の頭文字をとった造語です。
- O(Observe:観察する)
- O(Orient:状況を理解する)
- D(Decide:決める)
- A(Act:動く)
(Observe):市場や顧客などの外部状況をよく観察し、データとして収集する。
(Orient) :収集したデータをもとに、今何が起きているのかを把握・理解する。
(Decide) :理解した状況に対して、具体的な方針やアクションプランを決定する。
(Act) :プランをもとに、実行に移す。
OODAループが注目される理由
VOCAの時代では、その時々の状況に応じて素早く判断をし、意思決定していくことが求められます。そのため、先の見えない状況での意思決定を、素早く回していくニーズからOODAループが注目されているのです。
PDCAは最初に計画することから始めますが、OODAループは観察と状況判断から始まります。何が起こるか予測不可能なVUCA時代には、全てを計画通りに行うことは難しいため、現場での状況判断を的確に行い、柔軟に対応していくことが求めらます。
OODAループは、今後個人としても身につけるべきスキルのひとつです。また、組織内でもOODAループを実行することが、今後の主流の意思決定方法になっていくことは間違いありません。
まとめ:VUCA時代に情報収集してキャリアの備えをしよう
今回の記事では「VUCA時代とは」について、またVUCA時代に必要な3つのスキルについて解説してきました。さらに意思決定の手法であるOODAループについても解説してあります。
VUCA時代は、過去の経験が通用しない大変厳しい時代です。それゆえ、「今まで通りの延長線ではない時代」であることを意識して、積極的に情報収集し、キャリアへの準備をしていきましょう。
さらに、ブロックチェーンやスマートコントラクトといった技術が、今後ビジネスに取り入れられていきます。これらの技術は、仮想通貨の出現によって生まれた技術です。
仮想通貨(暗号資産)の情報を取り入れることは、ビジネスを優位に進める要因でもあります。暗号資産に関する情報に着目する価値は、今後大きいと考えられます。
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